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73年アルバムの9曲目、ラストナンバー
イアンハンターという人はある意味正当な評価を受けずに
終わってしまった人だと思う
西欧の人が年齢とか同世代を意識するかは知らないが
1939年生まれというのが一つのポイント
非常によく似た感性のジョンレノンより一つ
そしてボブディランより二つ年上である
昔、向田邦子さんがデビューした時に
向田さんは、何人もの物書きを殺した、と言われた
彼女は29年生まれ
戦争時代を中核に、明治大正的な感性と、戦後の感性の
偏差と同質に眼を凝らし、それを的確な文章で表現した
すなわち、誰もが書けるものを誰よりも上手に書いたわけだ
誰もが書けるものとは、すなわち、ハートオブ同時代(同時代の心)である
ロックにも、あきらかに、同時代性というものがある
それがなければ、グラムもパンクもブリットポップも
いわゆる潮流と呼ばれるムーブメントは目に見える形では起きない
ロックが勃興した時、ジョンとボブは、そのど真ん中に
紛れもない天才として存在した
きっと彼らを見て、身を引いてしまった同時代人も、多々いただろう
その後ロックカルチャーを動かしてきたのは
彼らを意識せずに済んだ同時代人、意識はしたが己は己の道を行くと決めた同時代人、もしくは初めから彼らと無関係な感性の同時代人
そして、その後の世代で彼らに憧れた人たちだと、言ったら言い過ぎだろうか
イアンを聴くと、どうしても、この二人の存在の影を感じてしまう
ロックミュージックというポップカルチャーをメディアとして
人間の本質に迫ろう、それを表現しようという、姿勢が相似している
俺は充分に天才だと思うのだが
より年下の天才が眼に映る時、その天才は何を思うのか
ジョンとボブには天才の天才たる所以か
無意識という感触もあるのだが
イアンは意識的、自覚的という意味でも相当しんどかったのではないか
すぐ近くには、ボウイという全然違う文脈で生きているトリックスターもいるし・・・
イアンの曲に、どこか物悲しい響きがあるのは
そんなこともあるのではないかと、勝手に思って聴いてきた
この曲もタイトルが示すように
男と女はどうして、父母や息子娘を愛するように
愛し合えないのだろうかという、人間本質に関わる問題を
扱ったものである
そんなこと知ってはいるし思ってもいるけれど
口に出したことはないという人も多いのではないか
皆が知っていること、思っていること、しかし言葉にしたことがないことを言葉にするのが、天才的表現者の仕事である
[2008年8月13日 mixiにて初出]
http://upset-the-apple-cart.net/index.html
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